2007年10月31日水曜日

Houdement & Kuzniak (2006)

Houdement, C. & Kuzniak, A. (2006). Paradigmes géométriques et enseignement de la géométrie. Annales de didactique et de sciences cognitives, Vol. 11, 175 - 193.

Kuzniak の論文を初めて読んだ(ちょっと斜め読みだったけど).幾何のことをやっていることは前々から知っていたけど,なぜか論文を読む機会がなかった.

この論文では,Kuzniak の espace de travail geometrique という枠組みと,それらが参照する異なる幾何パラダイムという考え方を用いている.前者は「幾何活動領域」とでも訳すのだろうか.学習者が解く問題によって(特に学年によって)異なった espace で活動することが求められることを示している.例えば,小学校段階では,多くの場合,描かれているもの(signfiant)が学習の対象となっているパラダイム Geometrie I を参照する espace で活動することが求められる.すると「だいたい平行」という表現などが生じる.

おそらく,これまで幾何の区分は,「プラグマティックな幾何」と「演繹的幾何」「形式的な幾何」など,比較的曖昧に用いられてきたと思う.その線引きをパラダイムという語を用いてはっきりさせている感じ.必ずしも新しいことではないけど,特に小学校から中学校への移行期の幾何の分析に便利だと思う.

RDM と ESM にも関連する論文が出ているみたいなので,今度読んでみよう.