2007年11月10日土曜日

Vergnaud, G. (1983)

Vergnaud, G. (1983). Pourquoi une perspective épistémologique est-elle nécessaire pour la recherche sur l'enseignement des mathématiques? (Eds. J. C. Bergeron et al.) Proceedings of 5th PME-NA, Montréal: UQAM.

大分古い論文ですが,1983 年の PME-NA のプレナリーの論文です.モントリオールであったためか,この論文は仏語と英語の両方が論文集に載っています.ちなみに,古い PME と PMENA の論文はほとんど ERIC (http://www.eric.ed.gov/) に入っています.また,ERIC# は PME の HP (http://igpme.org/view.asp?pg=conference_proceed) で手に入ります.

この論文の内容は,数学教育研究に認識論的展望がなぜ必要なのか,それまでの心理学だけではなぜ限界があるのかを中心に述べています.ポイントは,問いもしくは問題が数学知識の中心であり,状況を分析することが必要である,というところです.従来の心理学が主体を分析してきたが,数学教育においては,それでは数学知識の性質を十分に考慮した分析ができないというわけです.おっしゃる通りです.そして結論は,「だから conceptual field を分析する必要があるのだ」とのことです.

ベルニョーは,フランス数学教授学の創始者の一人ですが,元々心理学者です(というか現在も心理学の研究所にいます).その心理学者が上のような発想で,心理学と離縁した数学教授学を盛り上げたというのは,面白いです.もしかしたら,これが本当のピアジェ系の流れなのかもしれません.そういえば,以前ピアジェ研究所の先生にお話をしてもらったときも,だいぶ数学教授学ちっくな認識論的要素が入っているなぁと思ったことがありました.

話が逸れましたが,フランス数学教授学のポスト初期段階の考えが見れて面白い論文でした.

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