2007年5月5日土曜日

Chevallard, Y. (198?)

Chevallard, Y. (198?). The Didactics of Mathematics : Its Problematic and Related Research. Recherches en didactique des mathematiques, 2(1), 146-158.

1980 年に開催された ICME 4 (Berkeley) で発表した論文だそうですが,RDM に掲載されているとのことです.しかし,ネットで調べたところ本当に英語で出ているのかちょっとわかりませんでした.そういえば,シュバラールの論文の多くは, http://yves.chevallard.free.fr/ にアップされているので簡単に入手できます.最近は雑誌の多くが電子化されていて,かつ大学がその会員になっているので,ほとんどネットでこと足ります.

この論文は非常に古いものですが,非常にわかりやすくフランス数学教授学がどのような学問なのか説明しています.短いので簡単に読めます.フランス数学教授学が70年代に形作られてきたとき,それがこれまでの教育学 (pedagogy) と何が違い,なぜそれが必要か,その説明が必要だったために書かれたものだと思います.

具体的な内容は,昔の教育学と比較し,かつ他の学問分野の発展の歴史を参考にしてフランス数学教授学の問題意識を説明しています.例えば,昔の教育学では,デュルケムやピアジェ,ブルーナーらに見られるように教育の理論や研究と言っても規範的 (prescriptive and normative) なもの,つまりデュルケムの言葉を使えば "practical theory" が主に扱われてきました.一方,兵器などの発展の歴史を参照すれば,ダビンチのような技術だけでは明らかに不十分で,即効性はなく遠回りになるかもしれないがガリレオのようなより科学的なもの(物理学)が必要になります.それを教育で考えると,"practical theory" ではなく教授学が必要になるということです.後半には,教授学的置換や教授学的契約の例も簡単に出てきます.

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